各症状について
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スポーツ障害
スポーツ障害が起こりやすい時期、主なスポーツ障害、予防のポイント、当院での治療法
「スポーツをしていて肘や膝の関節の痛みに悩まされている」
「慢性的に痛みがあるけれど、諦めてスポーツを辞めたくない」
この記事はスポーツを頑張っている学生とその親御さんに向けて書いています。
スポーツ障害とは
スポーツで生じる身体の故障には、急な外力が加わったことによって起こる「スポーツ外傷」と、過度の負担が繰り返しかかることによって痛みなどの症状が慢性的に出る「スポーツ障害」があります。このスポーツ障害の場合は、早期に対処しないと重症化する恐れがあり、関節が変形したり、骨が分離したまま治らないといったことが起こり、日常生活にも支障をきたすことがあります。一般的にはスポーツ外傷とスポーツ障害を総称してスポーツ障害と呼ばれています。
スポーツ障害が起こりやすい時期
主に成長期でもある中学生頃に多く見られます。骨が成長して、後から筋肉が追いかける様に身体が作られます。男子の場合は高校2年生くらい、女子の場合は中学3年生くらいまでが成長期になります。
この時期の骨は、両端が軟骨になっていて「骨端線:こったんせん」と呼ばれる部分から骨が伸びていきます。(レントゲン撮影すると骨折と間違えられることもあります)
骨や関節は成人と違って構造的にも弱いので、強い牽引力や圧迫力が繰り返し続くことによって、傷ついて変形することによって障害が起こりやすくなるのです。
主なスポーツ障害
各部位を説明していきます
部位 障害名 症状 原因となる動き 関連するスポーツ 肩 野球肩・水泳肩 (インピンジメント症候群)
肩を上げるときに筋肉が骨と骨の隙間に挟まった状態 投球動作のテイクバック クロールで水をかく時
野球、水泳 肘 野球肘 内側側副靭帯損傷
肘の内側にある靭帯が剥がれたり断裂した状態。 肘の内側を過度に引っ張るような投球動作 野球 肘 テニス肘(バックハンド型) 外側側副靭帯損傷
肘の外側にある筋肉の付いている部分に対して強い牽引力が加わり炎症を起こす ストローク中 テニス 指 マレットフィンガー 指先から正面に衝撃を受け、第一関節の指を伸ばす腱が断裂する。 指の正面に衝撃を受け、第一関節の指を伸ばす腱が断裂する。
ボールをキャッチし損なう
指に衝撃を受ける 野球、バスケットボール、バレーボール 腰 腰椎分離症 小さな負担が腰に繰り返し加わることによって、腰骨の一部が分離(疲労骨折)する 過度に腰を反らす様な動き バレエ・野球・サッカー・水泳(バタフライ・平泳ぎ) 膝 オスグッド病 膝のお皿の下にある部分が太ももの筋肉の硬さによって剥がれて、すねの部分が盛り上がる。 ジャンプ、走る、切り返し バスケットボール バレーボール
テニス
膝 ジャンパー膝 ジャンプをする競技 バレーボール バスケットボール
サッカー
膝 前十字靭帯損傷 足が地面に固定された状態で膝に捻りが加わり靭帯が断裂する。 切り返し、急停止、ジャンプの着地時、ソフトボールの投球動作。強い外力が膝の後ろか外側から加わったとき。 テニス、サッカー テニス、バスケットボール、陸上、楽ビー、アメリカンフットボール、柔道、スキー、ソフトボール
足首 シーバー病 アキレス腱の部分が過度に引っ張られて、付着部でもある踵の軟骨部分に障害を受ける 絶えず繰り返し走ったり、ジャンプをする サッカー バスケットボール
予防するためのポイント
ウォーミングアップを行う
スポーツ障害、外傷を防ぐには、ウォーミングアップは非常に大切となってきます。筋肉や関節がこれから動くためには、体温や代謝を上げて柔軟性を出すことでスポーツ障害になるリスクを最小限に抑えることが出来ます。
ジョギングやストレッチなどをして身体を温めるようにしましょう。最初はゆっくりストレッチを行って、徐々に反動を使うストレッチをして筋肉を伸ばすことがポイントです。
クールダウン
ウォーミングアップの逆になりますが、クールダウンは整理運動です。運動で興奮した状態を鎮めて、疲労を溜め込まないために行います。急に運動を中止することは身体にも負担をかけてしまいます。軽いジョギングから始めてウォーキングに移行させ、最後にゆっくりストレッチを行って、アイシングを行うようにしましょう。
運動強度に気を付ける
スポーツ障害は、主に使いすぎ(オーバーユース)によって起こります。繰り返し同じ動作を行うことで、筋肉や腱、関節へ継続的に負担をかけてしまいます。
全力で行う投球やダッシュの数は週間で制限するようにしましょう。
成長に合わせた練習
中高生ごろの成長は個人差が大きくなります。指導する先生も発育に合わせた指導が大切となります。成長段階での器具を用いた筋力トレーニングよりも、瞬発力を発揮するトレーニングを入れて、その後筋力トレーニングを行うようにしましょう。もちろん自分で行う腕立て伏せや腹筋、スクワットなどは行うといいです。
当院での治療法
まず、どのような痛みなのかを確認します。さらに痛みの出る動作やフォームをチェックし、痛みの出ないフォームづくりを指導していきます。
もちろん使い過ぎによるものが多くあるので、重要な大会や試合以外の時は安静、もしくは筋肉や腱、関節部分の柔軟性を高める方法として、マッサージやストレッチ、矯正、テーピングなどを行っていきます。