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手足の痺れ
お尻から足がしびれて痛い…症状の正体と改善させる治療法3選
『最近腰痛だけでは無くてお尻や太もも裏が痛くてしびれるようになってきた』
『この坐骨神経痛の様な症状を改善させる治療法があるのであれば知りたい』
このブログはお尻から足にかけての痛みやしびれに悩まされているあなたに向けて記事を書きました。
お尻から足の痛み・しびれが起きる症状は?
坐骨神経痛は、お尻や太ももからふくらはぎの後ろまたは外側に痛みやしびれをきたす神経痛ですが、診断名ではなく症状名です。坐骨神経は腰椎(腰の骨)から分かれて出てきている神経が集まって膝上まで走行し膝裏から2つに枝分かれしていきます。この神経の走行上に痛みやしびれを伴うものを坐骨神経痛と呼ばれています。
坐骨神経痛が起きる病気は?
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあるのですが、多くの場合は腰椎の部分で神経根が圧迫されたものだとされています。坐骨神経痛が起きる病気としては以下のようになります。
参考文献『社団法人 日本整形外科学会 坐骨神経痛』
腰椎椎間板ヘルニア
腰は腰椎とよばれる骨と骨の連なりからなり、その骨の間にはコラーゲン繊維で出来ている椎間板というクッションの役割を果たすものがあります。この椎間板に何らかの負荷がかかることによって外に飛び出てしまい神経を圧迫させて坐骨神経痛を引き起こすと考えられています。
腰椎分離すべり症
学生の時期にジャンプを繰り返し行うような競技(バレーボールやバスケットボールなど)、腰を捻る動作を繰り返す様な競技(野球やゴルフなど)で起こる疲労骨折の1種が腰椎分離症と呼ばれます。その腰椎分離症を放置したまま悪化してしまうものを腰椎分離すべり症と呼び、腰痛や坐骨神経痛を引き起こすとされています。
腰部脊柱管狭窄症
背骨の真ん中には脊髄を保護する為の脊柱管と呼ばれる空洞が存在します。その部分に持続的な負荷がかかることによって空洞が狭くなり腰痛や坐骨神経痛を引き起こすとされている病気です。主に50代以上の方に多く70歳以上の約半分の確率で脊柱管狭窄症になるリスクがあるとされています。
馬尾腫瘍
馬尾とは腰椎の2番目以降から神経が馬の尻尾のように枝分かれをして、その部分に対して出来る腫瘍の病気です。初期症状として腰痛が多く夜間に痛くなることが特徴的です。症状が進行すると歩行障害や膀胱直障害が起こり手術の対象となる場合があります。
腰椎腫瘍
脊髄腫瘍とも呼ばれることがありますが、最も多いのは悪性の転移性腫瘍です。他の部分に出来たガンが腰椎などに転移して腰椎を壊しながら大きくなり、脊髄や馬尾神経を圧迫することで腰痛や坐骨神経痛を引き起こすとされています。
また、元々腰椎に出来ている腫瘍が神経根や馬尾を圧迫することもあります。
ガン(悪性腫瘍)
骨盤内の直腸がんや膀胱がん、骨盤内のリンパ節や骨にガンが転移した場合に坐骨神経までガンが進行して痛みやしびれを引き起こします。
梨状筋症候群
股関節を外旋させる筋肉ですが、その部分の下には坐骨神経が通っています。この梨状筋が硬くなって坐骨神経に圧迫が加わると足の痛みやしびれを引き起こします。また、帯状疱疹ウイルスによって坐骨神経の走行上に発疹が出ることもあります。
変形性股関節症
特に変形性股関節症と似たような症状が起きる場合もあるのですが、トリガーポイントと呼ばれる関連痛によって坐骨神経痛の様な症状が起こります。このような場合は関節部分が原因ではなく筋肉が原因となって足の痛みやしびれを引き起こします。
お尻から足の痛み・しびれが起きる坐骨神経痛を改善させる治療法
病院では主に消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などの投薬治療が中心に治療をしていきますが、実際にどのような治療法がいいとされているのでしょうか?
治療法① 鍼治療
日本の腰痛診療ガイドラインでは鍼治療に関して確かな研究結果が出ていないのは事実です。ですが、参考にしている文献が海外のものになるのですが、中には坐骨神経痛に鍼治療が有効であるという研究結果が出ていることも事実です。
坐骨神経痛の患者90人を無作為に灸と合わせた鍼治療グループ、薬物療法の西洋医学グループ、注射グループに分けられて、お灸と鍼治療を合わせたグループが他のグループよりも優れた治療効果を示したと書かれています。
参考文献:『30例の坐骨神経痛の治療のための温暖化治療』
さらに、無作為に椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛の患者を選び、治療群と対照群に分け週5回の鍼治療を4週かけて行った結果、椎間板ヘルニアで坐骨神経痛を軽減するのに有効という試験結果も出ています。
参考文献:『坐骨神経幹の鍼治療による腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛の治療に関する無作為化対照臨床試験』
治療法② 手技療法
仙腸関節は坐骨神経痛に関連がある部分ですが、この部分への手技療法を行った結果、理学療法や関節内注射よりも手技療法が優れているという試験結果も出ています。
参考文献:『下肢痛患者における仙腸関節の治療無作為化対照試験』
当院では仙腸関節部分に対しては鍼治療やカイロプラクティックなどを組み合わせてアプローチしていきます。
さらに、マッサージでも腰痛や坐骨神経痛の症状の軽減や関節可動域を広げることを示唆するという臨床結果も出ています。
参考文献:『マッサージ療法は、可動域を広げ、痛みを軽減し、腰痛や坐骨神経痛の症状があるクライアントの癒しを助けます。』
治療法③ 薬物療法
椎間板病変による腰部神経根症(坐骨神経を含む)は、ミルナシプラン(100~200mg/日)が有効で、腰部神経根症を伴った腰痛症においてはデュロキセチン(120mg/日)が有効であるとされています。
新京成障害性疼痛に対する選択肢の1番目の薬物療法として抗うつ剤が用いられますが、有効性を示さなかったとも書かれています。
引用文献:日本ペインクリニック学会『神経性障害疼痛薬物療法ガイドライン改定第2版』より
日本では多くの場合最初に薬に頼って治療をすることが多いのですが、医療先進国でもあるアメリカの場合は何をしてもダメな場合に用いることが多く、日本とは逆の捉え方になっています。
まとめ
あくまでもこの治療法は内臓疾患や悪性腫瘍が元となっているものでの方法ではありません。ただし、筋肉や関節といった部分に対しての手技療法でも良くなるということが分かっています。治療法ももちろん大事かもしれませんが、一番重要な部分は『何が原因となって坐骨神経痛が引き起こされているのか?』を見極める事が大事となります。
椎間板ヘルニアと診断されて坐骨神経痛が起きていたとしてもほとんどの場合は手術が必要とされません。ほとんどの場合は1~12ヶ月以内に坐骨神経痛は消失して、手術の場合は回復させる時間を早めることが有効とされています。ただし、他の治療法より手術の方が優れているという結果は出ていないのが現状です。
参考文献:『椎間板ヘルニアの坐骨神経痛:治療または手術か?』
1つの治療法に頼るのではなく、併用することで坐骨神経痛を改善させる近道になる可能性は充分にあるので鍼治療、手技療法、薬物療法を上手く組み合わせて治療をすることが近道になるのではないでしょうか?